大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(オ)692号 判決

上告人(原告) 秋元久吉 外三名

被上告人(被告) 青森県選挙管理委員会

一、主  文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差戻す。

二、理  由

記録に徴するに、被上告人青森県選挙管理委員会は、昭和二六年四月二三日行われた同県北津軽郡五所川原町会議員一般選挙の当選の効力に関し、同年九月一九日附をもつて、本件選挙の投票中いわゆる潜在的無効投票二五票の混入していたことを理由に上告人等の当選を無効とする旨の訴願裁決をし、上告人等は右訴願裁決の取消を求めて本訴を提起したが、原判決は二五票の潜在的無効投票を認定して上告人等の請求を棄却したものであること明白である。

しかるに、職権をもつて調査するに、昭和二七年八月法律第三〇七号により加えられた公職選挙法二〇九条の二は、帰属不明の無効投票があることの判明した場合について「当該選挙管理委員会又は裁判所は、第九五条(当選人)の規定の適用に関する各候補者の有効投票の計算については、その開票区ごとに、各候補者の得票数から、当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して得た数をそれぞれ差引くものとする。」と規定し、同改正附則二項但書は右二〇九条の二の規定を現に係属している訴訟についても適用することを規定しているので、これと異る判断により上告人等の当選を無効とした原判決は、結局違法に帰したものといわなければならない。そして右改正法による上告人等の当選の効力を判断するについては、本件選挙における有効投票の総数及各候補者の得票数を確定することを要するから、民訴四〇七条により原判決を破棄し、本件を原裁判所に差戻すこととし、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判官 霜山精一 栗山茂 小谷勝重 藤田八郎 谷村唯一郎)

上告代理人竹田藤吉の上告理由

第一点

一、原判決は上告人等四名の当選を無効とする理由として、「本件選挙の投票中には二十五票のいわゆる潜在無効投票があつたものというべく、而してこのような潜在無効投票があつた場合には、右無効投票を各当選者の得票からそれぞれ控除し、右控除した各当選者の残得票を首位落選者の得票と比較し、右控除した残得票が首位落選者の得票と同数若しくはそれより少いときは、その者の当選を無効とすべきところ、前示原告等四名の各得票から前記二十五票の無効投票を控除するときは、各その残得票が前示首位落選者和田新の得票より下位に下ること明白であり、原告等の当選に異動を来す虞れがあるから、右四名の当選はいずれも無効といわなければならない」と判示した。

二、然れども何人に投ぜられたか判明しない無効投票が各当選者に加わつている可能性ありとして、これを控除することは証拠上の擬制であるから衡平の原理に支配されなければならないところであるが、今当選者の得票から無効投票を控除し、これを控除なき首位落選者の得票に比較し、これと同数若しくはその下位に下るの故を以て当該当選を無効とすることは、結局当選者の得票中には無効投票混入の可能性があるが首位落選者の得票中には無効投票混入の可能性がないという結論に到達すべく、推理の上に大なる矛盾、不公平を生ずる結果を免れない。

三、本件の場合、潜在無効投票は各候補者の得票中に加わつている可能性が認められるのであるから、公平に得票者(候補者)全部から夫々これを控除し、その結果最下位当選者の得票が法定数(公職選挙法第九五条第一項第四号)以上のときは、選挙の結果に異動がないものとなすべく、その法定数を下つた場合において始めてその当選を無効となすべきものと信ずる。

即ち、原判決は法令に違背するところありと信じ上告の理由となす次第である。 以上

上告代理人竹田藤吉の追加上告理由

一、昭和二七年法律第三〇七号公職選挙法の一部を改正する法律(68)項により公職選挙法第二〇九条の二の規定が新たに設けられ、所謂潜在無効投票の処理方法について、「各候補者の有効投票の計算については、その開票区ごとに、各候補者の得票数から、当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して得た数をそれぞれ差引くものとする。」と定められた。

二、本件二五票の無効投票数を上告人四名の各投票数に応じて按分して得た数を差引いた結果は左表の通りである。

候補者氏名

(1)得票数

(2)無効投票二五票を(1)の得票数に按分して得た数

(3)上記1の数から(2)の数を差引いた数

秋元久吉

一五九票

〇、六二七票余

一五八、三七二票余

千葉清隆

一四九票

〇、五八八票余

一四八、四一一票余

鶴谷清志

一四七票

〇、五八〇票余

一四六、四一九票余

山川彌太

一四三票

〇、五六四票余

一四二、四三五票余

三、右差引数はいずれも公職選挙法第九五条第一項第四号の法定点数六一票弱以上であるから、上告人等当選の効力には影響がないといわなければならない。 以上

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